第一回:スタートアップエコシステム概要

Discovering HONGOが辿った軌跡をなぞる、始まりのレポート。

こちらの連続記事を一読して頂ければなぜ東大にスタートアップが集まっているのか分かっていただけると思います。そして、僕らがなぜスタートアップへのインターン紹介が重要だと思うのかも見えてくると思います。

記念すべき初回の記事はスタートアップ関連用語の確認と東大に関連したスタートアップの歴史を通じて、Discovering HONGOが何を発信するメディアなのか少し丁寧に説明します。

スタートアップという言葉は聞いたことがある程度という学生を対象とした記事ですが、元々スタートアップに興味があり、知識も多少あるという人も簡単に眼を通して頂けると、Discovering HONGOをより使いやすくなると思います。

スタートアップってなに?

良く耳にしますが、そもそもスタートアップとは何でしょうか。 

ベンチャーと似たような使われ方をしているときもあります。「大学生の就職先としてベンチャーが人気になってきた」という記事を時々目にしますが、これらの用法の場合は、ベンチャーの中でも成功して、大手になったもの(メガベンチャー)が含まれている場合が多いです。

これらの多くがIT企業のため、ベンチャーに対してもITが中心という印象を持たれるかもしれません。しかし、一般的な用語としてベンチャーは新興企業のことを指し、その中でもスタートアップとは、資金調達や上場を経て急速に顧客を獲得することで指数関数的な成長を目指すものを指します。

Discovering HONGOではその中でもさらに大学のリソース(研究成果、独自技術、人的資源)を利用している企業に対して大学関連スタートアップという言葉を使っていきます。

そもそもエコシステムというワードを使う理由。

そして、この記事にも冠しているスタートアップエコシステムとは、スタートアップが成長していくために必要な環境のことを指します。

環境というだけであれば、エコシステム=”生態系”という言葉を使用する必要がありませんし、スタートアップは技術とアイデアさえ実現していけば成功すると思われる読者もいるかもしれません。しかし、起業はそんな一筋縄ではいきません。

例えば、大学で社会に役立ちそうな画期的な研究成果を見つけたときに、それを社会に還元するためには多くのステップが必要になります。ステップを踏む順番・道筋は企業によって大きく異なりますが、一般には、次のような全く異なる性質のものに注力していきます。

ビジネスモデル…アイデアや研究成果からどうやって価値を生み出すか決める
資金調達‥商品化まで持っていくためのお金を集める
知財戦略…研究成果をどれほどオープンにするか決める
ユーザーヒアリング…顧客に求められる商品像を理解する
研究開発…顧客に求められた商品に近づける
組織づくり…これらを行っていくための集団をつくる

そして、最終的には次の状態を目指します。

バイアウト…大手企業に買収される
株式上場…発行した株式を公開株式市場で売れる状態にする

この一連のフローを、図で表しました。

スタートアップエコシステムとスタートアップライフサイクル

大学関連スタートアップは他のスタートアップと違って、技術が肝のため知財戦略や研究開発などが重要視され、学問探求や研究活動を行う大学生がインターンする上では挑戦的な内容になります。

そして、それぞれのステップでは、手助けしてくれるプロの存在の有無によって大きく進捗が変わります。これは、各ステップにはそれぞれ経験や知識が必要とされる中、プロは各ステップに特化したリソースを持っていたり、多くの企業を既にサポートしてきた経験があったりすることが理由です。スタートアップを設立しただけで急速に成長できるほどビジネスも楽なものではありません。むしろ急速な成長をするために取るリスクも大きく、より多くのスタートアップが急速に成長するためには、手伝ってくれるプロが各所にいる状態が重要です。

スタートアップがこうしたプロの支援を受けやすい環境が整っていることで、エコシステムが盤石となり、スタートアップという個々の生き物がより生存しやすくなると言えます。さらに、プロとして他のスタートアップをサポートする側は、サポート実績の積み重ねにより、自分たちの価値を高められるという利点もあるのです。つまり、持続的に成長するスタートアップの数を増加させるためには、このような形でエコシステムを強化することが必要です。実際に、シリコンバレーや深圳、イスラエルなどスタートアップが次々に生まれている地域ではこうしたエコシステムが構築されています。

ここで重要なのは、各地域のエコシステムは共通の基本的構造を有しつつ、各地域の特性を反映したものになっているということです。これが生物学用語における”エコシステム”と相通じる部分です。こうした、エコシステムとしての共通点と相違点を意識しつつ、各地域のスタートアップエコシステムを見ていくことがエコシステム構築のためには重要です。

東大スタートアップエコシステムの簡単な背景

先ほど少し触れましたが、スタートアップエコシステムは世界中にあります。東京大学のスタートアップエコシステム自体については次回の記事で詳しく見ていきたいのですが、本記事の最後に東京大学におけるスタートアップエコシステムの誕生について触れておきましょう。

事の発端は2004年までさかのぼります。

国公立大学を法人化するにあたり、東大を取り巻く状況はめまぐるしく変わり、その一つとして文科省からの運営交付金が減少し、”自ら積極的に外部に働きかけて投入可能な資源を増やすこと”(当時の学長 佐々木毅氏の言葉)が求められ、研究成果を社会に還元する方法と意義を大学の中から生み出す必要が生まれました。特許や発明を生かしての収益を上げることができるようになったことも重なり、研究成果を直接的に社会還元できるスタートアップも重要視され、それらをより強力に支援する仕組として、東京大学内からファンドと施設、そして教育の仕組が一気に生まれました。

そこから15年の間でスタートアップにとって必要な環境整備が抜け漏れなく行われるよう、様々な取組が誕生してきました。東大の産学協創本部に関連したプログラムが5つ、インキュベーション施設が7つ、ファンドが2つ。そして東大外にもここ5年で次々と新しい試みが誕生してきています。それらにより東大では海外から見ても面白いスタートアップエコシステムを形成しつつつある訳です。

最後まで読んでいただき、有り難うございました。

次回からはDiscovering HONGOが把握するスタートアップエコシステムの全てを2記事に分けて示していきます。お楽しみに。

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