スキルアップだけじゃない!議論が盛んで視野も広がる!医学部生が観たAIエンジニアインターンの魅力とは

AIエンジニアと医学生の二足の草鞋を履く深川さん(東大医学部5年)。インターンを始めた経緯、インターンではどのようなスキルが学べるのか、いかにしてインターンと学業の両立を図っているのか、研究室とインターンの違い、そしてインターンを始めて大きく変わったことなど、あれこれ深堀ってお聞きしました。インターンを検討中の医学生はもちろんのこと、エンジニアインターンを考えている学生さん必見です!

Lily MedTech「乳がん検診をより容易に、高精度にする検診機器の開発」

基本概要
CEO 東志保
設立 2016年5月
出資 Beyond Next Ventures、アフラック・コーポレートベンチャーズなどから計12.8億円
社員 40人(2020年6月現在)
 
サービス
リングエコーを用いた、乳房用超音波画像診断装置の開発

ビジョン
乳がん検診率の向上と早期発見・早期治療の実現に貢献することで、乳がんによる死亡率を低減する

ワンポイント(サービス、ビジョンかいつまみ)
 他のがんと比較して若い世代の罹患率が高いにも関わらず、検診受診率が高くない、乳がん。現在国内で年間8万人が罹患しており、また1万3000人が亡くなっている。罹患機序がはっきりしていないため、予防が難しく、罹患後の死亡を防ぐためには早期発見による早期治療が最も有効な対策となる疾患だ。
 従来のマンモグラフィによる乳がん検診は、若い女性に多いデンスブレスト(編集注:乳腺組織が極めて高密度な乳房と、不均一に高濃度な乳房)に対して精度が低く、また痛みや被ばく等の問題があった。Lily MedTechは、より身近で、デンスブレストに対しても精度が低下しない乳がん検診を実現するため、リングエコーと呼ばれる東大発の超音波技術を使った画像診断装置を開発している。保険大手のVCや日系大手医薬品卸企業からも出資を受ける等、非常に注目が集まっている技術だ。

ベンチャーヒストリー
 東大医学部の研究室で研究されていた技術を用い、東CEOが起業。その後夫である東CTOが大学研究室から移籍したほか、大手医療機器メーカー等からも人材が集まり、研究開発に注力している。2019年に大型の資金調達を行い、資金面でも充実している。

―現在、深川さんがインターンをされているLily MedTechについて教えてください。

 Lily MedTechは、新たな乳房用超音波画像診断装置の開発を目指す東大発の医療機器ベンチャーです。日本では、11人に1人の女性が生涯で乳がんを患うと言われ、罹患率のピークは、女性ホルモンなどの影響から、40代後半と比較的若年層の方が罹りやすい傾向にあることがわかります。一方で、乳がんは、早期に発見し、早期治療を行えば、生存率が高いことが知られています。とはいえ、乳がんは転移しやすく、発見と治療の時期によって、生存率が大きく左右されるため、乳がんの早期発見・早期治療が持つ意味は、他のがんに比べても非常に大きいです。

 しかし、日本では検診があまり浸透していないというのが現状です。その原因の一つとして、現在の乳がん診断装置の主流であるマンモグラフィーが、痛みを伴うことが挙げられています。Lily MedTechでは、簡単で、痛くなく、マンモグラフィーに映らないものも映すことができる乳がんの診断装置の開発を目指しています。これまであまり医療機器には用いられて来なかった、リングエコーという超音波検査の画像を3次元で撮ることのできる技術を使おうとしています。リング状の超音波発生装置が、乳房の周りを上下に移動して乳房内を撮影し、得られた3次元のスライス状の画像を見て、がんを発見します。(企業自体の詳しい概要とCEO取材記事はこちらより)

うつ伏せでの撮影イメージ

リサーチが進むレベルの高い議論

―深川さんは、この製品開発のどの部分に携わっているのでしょうか。

 リングエコーは、簡単に撮影できる上、3次元であるため、画像が大量に出てきてしまい、医師がその読影を行うのは非常に大変です。そこで、Lily MedTechではAIによる画像診断あるいは診断補助を可能にする技術開発を行っています。この部分に携わっていて、研究開発に近いことをさせてもらっています。

リング正面アップ

 具体的には週2回、1回あたり2〜3時間程度作業をしています。画像処理の歴史は長く、その方法は幅広いので、自分で論文を読んで勉強したり、似た製品が用いている手法のリサーチをしたりしています。どの手法を用いるかは特に指定されていないので、リサーチした手法を適用できないかを考えることもインターンの業務に含まれます。

リサーチの傍ら、5〜6人で定例のミーティングを行います。ミーティングでは、進捗報告をして、報告内容について質疑と議論を行い、次の週にやることを決めます。作業をする中で生じた疑問点についても、ミーティングで解消します。

医学部生活との両立、インターンする意味

―医学部医学科に入ってインターンをする人は少数派だと思います。深川さんの場合、なぜエンジニアのインターンをしようと思ったのでしょうか。

 確かに、医学部生がインターンをするのは珍しく、ほとんどの人が塾講師をやっています。私自身もそうでした。

 転機となったのは、昨年の1月から1ヶ月程、AIを使った生物学系の基礎研究をしている医学部の研究室に通ったことです。そこで初めてAI技術、画像処理を学びました。研究室を離れてからも、AI技術を自分で学び続けていて、AI技術をさらに学べるインターン先を、医療の分野に限らず探していました。面接した数社のうち、Lily MedTechの事業内容の説明を聞いて、「ここはすごいのでは」と思い、インターンをしたいと思いました。AI技術を学び始めてから4ヶ月ほど経ってからのことです。試験などはなく、一度お話しして、インターンをすることが決まりました。

―インターン先で研究することと、研究室で研究することの違いはなんでしょうか。

 研究室の研究内容は、高度なこともあり、それを解明することが、社会にどう役に立つのかが見えづらい場合が多いです。それに対して、インターンでの研究は、製品開発という最終的な目標が常に念頭にあり、作業の成果がそのまま製品開発に繋がります。

 また、私が通っていた研究室では、個々人がそれぞれ自分の研究をしていて、議論することがほとんどなかったのですが、Lily MedTechでは、大人数で議論する時間が確保されていて、レベルの高い方々と建設的な議論をすることができます。

 目標が明確で、議論が盛んなインターンでの研究の方が、自分に合っていると感じています。

―医学部生は忙しいというイメージがあります。どうやってインターンと学業を両立させているのでしょうか。

 Lily MedTechは、インターンと学業が両立しやすい環境が整っています。試験の前後はお休みをいただくなどして、柔軟に対応してもらっています。また、オフィスが夜遅くまで開いているので授業や実習の後に行って作業をすることもできますし、東大の敷地内にあるため通いやすいです。

―インターンを始めて、深川さんの中で大きく変化したことはありますか。

 医学部では、医学以外の分野に触れることがなく、臨床医と研究医以外のキャリアを検討する機会がないのですが、インターンを通じて、それ以外の選択肢にも目を向けるようになりました。また、医療機器メーカーと協力して、医療機器の開発に携わっている医者がいることを知ることができたのは、良かったと思います。

―今、インターンを始めようか悩んでいる学生に向けて、メッセージをいただけますか。

 インターンを始めることは、想像よりもハードルが低いと思います。特に、研究室から始まった東大発ベンチャーは、学生のインターンを受け入れることに対して抵抗がなく、寛容です。自分の技術力は不十分かもしれないと思っても、好奇心でとりあえずトライしてみるのが良いと思います。